牢口 (群馬県 上野村)

群馬県上野村には叶山という山があります、かつては切り立った巨大な岸壁の美しい山でしたが、現在は石灰岩の採掘によって中腹から山頂にかけて大きく削り取られた無残な姿となってしまいました。
秩父の武甲山などと同じ境遇です。

不遇の名峰叶山の北斜面には未だに400m近い高さの垂直な崖があります、その一部に極端に切れ込んだ、まるで鉈で断ったような部分があります。この深い切れ込みを牢口と言います。
牢口はあの別冊太陽「日本の秘境」にも取り上げられています、私自身この本で存在を知りました。
本によると、かつては牢口の奥(現在は採石場)に「叶後」という隠れ里があったとか。
牢口は石灰の岸壁の浸食谷で、両岸の高さはおそらく200〜300mあります。幅は最も大きく開いた天端部分でも数10mほどで、渓床部分は2.3mのとても急峻なV字谷です。
左側の大きな切れ込みが牢口です。この景色は車からも見れます、これでも十分に衝撃的な景色です。
右にも大きな切れ込みがありますが、詳細は分かりません、ドローンで見ると牢口以上の切れ込みのようですが。
牢口から漏れた光が一本の巨木を照らしていました、とても幻想的な景色でした。
望遠レンズが欲しい‼︎

車を止めスタートポイントから10分程汚い沢を登ると牢口の入り口が現れます。衝撃的なゴルジュです、水は流れている時と全くない時があります。
流れていたとしても源流は採石場なのでかなり汚い水です、上流から流れてきたであろうゴミも多く環境面では最悪と言えます。
人間の繁栄の犠牲となってしまった自然の一つです。
岩が作り出す、日本有数の'狭'  
自然の作り出す'狭'というのはなんとも惹きつけられます。赤城の銚子の伽藍、三国川 五十沢ゴルジュ、ジッピ これは日本屈指の'狭'ですが、一流の沢ヤでない限りは拝めません。
しかしここ牢口は素人でもそれも10分で驚異的な'狭'を垣間見ることができます。
※以前紹介した間滝もなかなかの'狭'を気楽に味わえますよ
絶望感と虚無感が支配する'狭'の空間

入り口からすぐに3段の小さな滝が現れます。
一番上部はチョックストーンの滝で地球儀滝と言われています。その名の通り、地球儀のように丸い岩が挟まっています。
地球儀滝の下までは行こうと思えば行けます。しかしそれより奥は我々には行けません、沢ヤの記録では地球儀滝を突破している記録があります、地球儀滝の奥こそが牢口の核心部分でこの世とは思えない景色が広がっているようです。
我々凡人が観れる牢口はほんの触りの部分だけという事です。
この日は微妙に水が流れていました。
12月なので水に浸かりながらの撮影はとても辛かったです。
牢口は狭隘な空間なのでとても暗いです、無理に明るく撮影せず、暗さをそのまま撮りました。
ほんの少し陽が入る牢口
ここで一度引き返しました。
撮影を終えて戻り、道路からドローン撮影をした後に谷に光が差しているかもしれないともう一度牢口へ向かいました。
するとどうでしょう、谷の奥に陽が差し込み黄金に輝いていました。
あまりにも美しく輝く様に見惚れてしまいました。
まるでファンタジー映画のワンシーンのような景色。
黄金に輝く岸壁はまるで生き物の骨のような形状です。
写真ではうまくスケールを伝えられないですが、巨大な異形の白崖にただ圧倒されました。神秘的な瞬間を目撃できて感無量です。

★過去の訪問
牢口には何度か訪問しています。
過去の訪問時の写真を掲載します
10年前、水が多く流れる時の牢口です。
地球儀滝は一見小さそうに見えますが、5.6mあり、つるつるで素人にはどうしようもない滝です。沢ヤはいったいどのようにこの奥に行くというのか。
地球儀滝のCSを支える一端は僅かな点でしかなく近いうちに風化浸食でCSは無くなってしまうかもしれません。

これは5.6年前に水がない時に行ったものです。
降雨や湿気の度合いにより色が変わるようです、この時は灰色でいかにも石灰岩の渓谷の様相でした。
中央にいる私と比較するとそのスケールの大きさがなんとなく分かります。
水が少なければ地球儀滝まで近づけます。
ゴミが流されて岩に挟まっています、ちなみに今も青いゴミは挟まっています。
こうしてみると挟まっている岩がかなり大きいことがわかります。

牢口はとても貴重な自然景観です。どうか、これ以上採石の開発が進まずに残り続けて欲しいと思います。

叶山、叶後、牢口は色々調べてる人が結構います。地質的観点から調べている方、周辺古道を研究している方、かつての集落の暮らし民族学的なアプローチで調べている方etc..
調べると結構面白いです

形は違えど古くから人と密接に関わってきた異形の秘境牢口でした。

かつての叶山の貴重な写真を掲載しているサイトをリンクいたします。なんと叶後の集落と牢口の裏手の写真があります。貴重すぎる!

INTO THE UNKNOWN

滝巡り、登山、秘境巡り、ドローン空撮を中心としたブログです。

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